遠州天体写真愛好会

2017 星空浪漫

月・星のある風景・星野   太陽系の仲間  海外の星空  星空の彼方 20周年記念メモリアル
20周年記念メモリアル 
いままでの主な天文現象を振り返ってみました
 
1997
ヘールボップ彗星

 太陽から非常に遠い位置で明るく発見されたので世紀の大彗星になると期待された。彗星は順調に増光し見事な大彗星に発達。肉眼で楽に見える時期が3か月も続き天文ファンを楽しませた。この彗星の撮影行で山で出会った星仲間が意気投合し遠州天体写真愛好会が発足することになった。当会発足のきっかけとなった記念すべき彗星です。
 
彗星の拡大写真。青い尾(イオンテイル)と白い尾(ダストテイル)が明瞭です。この作品は当会の礎を築いた故鈴木孝征氏の作品です。 
1997/3/9   854mmε250   水窪町家老平    鈴木孝征

 
 
肉眼に近い画像。月明りでもかなり明るく見えていた。 
1997/4/10  28mm広角レンズ  水窪町家老平   松浦勝利
 
 
2000
 皆既月食

皆既月食は地球の影の中を月が通過することによって起こる現象です。数年に1回の割合で起きるのでそれほど珍しいわけではありません。しかし、今回の皆既月食は本影の中心を月が通過し、かつ遠地点で起こるので皆既時間が非常に長い月食で1時間47分続きます。1時間47分を超える皆既食は141年ぶりになり、次にこの時間を超える皆既食は西暦3787年までありません。当日は天候に恵まれ食の全経過を見ることができました。 
 
広角レンズで約4時間の間露出して得た画像です。満月が次第にかけて皆既に入り地球の影の中心(最も暗くなる)を通過して再び満月の輝きに戻っていく様子がわかります。 
2000/7/16   28mm広角レンズ  竜頭山北駐車場   田代 貞
 

2001
  しし座流星群

過去に周期的に大出現をもたらした有名な流星群。平年は1時間に数個の出現だが約33年ごとに雨のように流星が降り注ぐ流星雨が見られることがある。2001年にはダストトレイルの軌道から事前に大出現が予想されていた。当日はしし座が昇ってくる夜半過ぎから明け方まで1時間に数千個の流れ星が空を埋めた。極大は11月19日03時頃で日本が最も観測に適した場所であった。天候にも恵まれて天文ファンでなくても一生の思い出なる天文現象であった。 
 
全天カメラによる画像。総露出2時17分。流星が100個以上写っている 
2001/11/19  16mm対角魚眼+6×7フィルム  竜頭山北駐車場   田代 貞

 
 
東天の流星。豆まきをしたように立て続けに流れることがある。 
2001/11/19    65mm6×7   竜頭山北駐車場   田代 貞
 

2002
 池谷・張彗星

森町三倉に在住の池谷薫氏が発見した6個目の新彗星。池谷氏は有名な池谷・関彗星の発見者で現在も捜索活動を継続している。池谷氏としては1967年に5個目の彗星を発見してから実に35年ぶりとなる彗星である。中国の張さんも独立して発見したので連名で命名された。夕空に長いイオンテイルを見せた。その後2010年には7個目の彗星を発見しています。池谷氏は遠州の生んだアマチュア天文家として我々の鏡であり誇りでもあります。 
 
春にしては珍しく透明度の高い空でした。この彗星は比較的北の軌道を通ったために見えている時間が長く、じっくりと撮影することができました。 
2002/4/13    530mm   水窪町家老平    松永敏彦
 

 2003
火星大接近

最接近時の視直径は25.1秒角となり15〜17年ごとに起こる大接近の中でも最大級の接近でこれ以上の接近は6万年前と284年後になるというまさに超大接近ですが、これは数字の上の話。実際に見ても他の大接近時の大きさの差はあまり感じられないでしょう。しかし、南の空にひときわ目立つ真っ赤な火星の輝きに驚いた人は多いのではないでしょうか。最接近時には-3等級という宵の明星に近い明るさでした。普段は小さな姿で模様が見にくいですが今回は小さな望遠鏡でも模様がよく見えました。撮影もフィルムからデジタルに移行期であり、それに伴い、画像も劇的に変わっていきました。 
 
今回の大接近では、撮影はデジタルカメラ、冷却CCDカメラ、デジタルビデオカメラ等が使われ、以前のようなフイルムは出番が無くなってしまった。そんな中、私もWebカメラであるPHILIPSのToUcam Pro カメラで撮影してみました。その結果は驚くばかりで、自分の撮影技術が数段向上したかの様な錯覚に陥るばかりです。 
2003/9/5〜18   31cm反射望遠鏡   焼津市   塩澤 均

 
 
やや右に目玉のような太陽湖、中央にオーロラ湾、この下の方には探査機バイキングが活躍したクリュセ平原、その左、真珠の海付近ではローバー2がうろちょろしました。 
 2003/9/11  25m反射望遠鏡    浜松市   野中 敬



 
 
2003 
 ブラッドフィールド彗星
この年は、2つの大彗星がやってくる!!と話題になった年でした。しかし、残念ながら、明るくなると予報されていたLINEAR彗星とNEAT彗星はどちらも期待ほど明るくなりませんでした。失望感が漂うなか、突如明るくなった第三の彗星が、このブラッドフィールド彗星です。長く、すらりと伸びた尾は、まさに、『ほうき星』という言葉を連想させてくれます。予想外に明るくなった彗星で、改めて彗星光度予測の難しさを感じさせてくれました。明るく観察できた期間も短く、これらの写真はそのわずかなチャンスに捉えた貴重な作品です。
 
 今回の彗星で活躍したのがデジタル一眼レフカメラです。この写真もフジのFinePixS2Proというデジカメで撮影を行っています。ようやく一眼レフデジタルカメラは天体撮影の新しい機材として、定着した感があります。 
 2003/4/29    300mmAPS-C  豊岡村   宇都正明

 
前評判の高かったリニア彗星とニート彗星はさほど見栄えがせず、突然現れたこのブラッドフィールド彗星の方がずっと彗星らしい姿でした。発見から立派な尾を見せるまであまり時間もなく、雑誌の情報ではとても間に合いません。登場の仕方もまさに彗星らしい彗星でした 
2003/4/29    127mm6×7  竜頭山北駐車場   田代 貞
 

 2004
 金星の日面通過

金星が太陽の表面を通過していきました。130年ぶりという珍しい現象です。多分今生きている世界中の人々が初めて遭遇する天体現象でしょうね。普段いつも見ている金星は、宵か明け方にギラギラと光輝く姿ですが、この日は真っ黒な丸い姿でした。金星は地球とほぼ同じ大きさ・・、こうして見ると太陽の大きさを実感します。 
 
あいにくの曇り空の中、思うように撮影できませんでしたが、薄雲を通してわずかの時間見えました。 雲が薄くなる瞬間を狙って何とか撮影できました。撮影後、ポツポツと雨が降り出しました。
 2004/6/8   FC100 合成F40   掛川市倉真   伊奈 宏
 

2007 
 白昼のマクノート彗星

見事な大彗星となったマックノート彗星です。立派なテイルをたなびかせ、ヘール・ボップ彗星以来、10年ぶりに訪れた大彗星となったのでした。が、それは南半球でのお話。位置関係が悪く、北半球では、残念ながら、夕暮れになる頃には、彗星も地平線の下に沈んでしまい、大彗星の姿を見ることは敵いません。しかし、明るくなった彗星は、なんと、昼間の明るさに負けじと輝いて、その姿の一端を我々に見せてくれたのでした。 
 
白昼に捉えたマックノート彗星です。ますます低空、悪条件となる夕方での撮影には見切りを付け、白昼での撮影を試みました。彗星は望遠鏡でみるにもかかわらず、ちゃんと尾を引いている姿を見ることができました。 昼間に尾が見えるのも凄いけれど、露出1/1000秒で写る彗星というのも凄い!  
2007/1/16   500m   磐田市  宇都正明
 
オーストラリアで見られたマクノート彗星の雄姿。大きくカーブしたダストテイルに無数のシンクロニックバンドが見える。この画像を見せられた時私たちの不運を嘆きました。
 2007/2/20  28mm広角レンズ   Mt White, near Sydney Australia.    Paul Shallow


 
 
 2007
 皆既月食

皆既月食は、地球の影に月が隠れる現象です。影に入って真っ暗になるのではなく赤く見えるのは地球の大気層を通過した赤い光が月面をわずかに照らすためです。この年の皆既月食は、全国で見られたのがが約6年半ぶりの現象でした。この時にみずがめ座の5等星の星が月に隠される星食という現象が見られました。普段は月が明るすぎて分かりづらい現象ですが月食によって暗くなった月面で見やすかったです。 
 
2分間隔で撮影し合成しました。上の写真は月を固定したもので星が月に近づいていく様子がわかります。下の写真は星を固定したもので月が動いていく様子がわかります。実際天球上では星が動くのか?月が動くのか?さて、 
2007/8/28   500mm    浜松市細江町    杉浦正人
 

2007 
ホームズ彗星

ホームズ彗星は太陽を7年で回る周期彗星で普段は17等級ほどですが、突如、急増光して1日足らずで2.8等級にまでなりました。実に40万倍もの大増光です。彗星の急増光(アウトバースト)は時々起こりますが、このような大規模な増光は大変珍しいことです。彗星の増光は本体からなんらかの原因で大量のガスまたはチリが突然放出されたことによるもの考えられています。彗星から放出された物質が次第に大きく拡散していく様子も捉えらえました。 
 
10月24日のアウトバーストから連続的に撮影されたホームズ彗星です。コマ拡散して薄くなっていく様子がわかります。史上最大級のアウトバーストの記念写真です。自動追尾がなくガイド鏡を覗いて、リモコンでの追尾やピント合わせが大変だったことが思い出されます。 
2007/10〜11    800mm   森町   山田清春
 

 
 
 
 
 2011
 皆既月食

4年ぶりに見られた皆既月食。この画像は月食の進行を地球の影を中心に据えて合成したものです。月は地球の影の中を(西)右側から(東)左側へと移動しています。影の中に入り込むと月面が暗くなるので露出を多くして写し出しています。影の明るさは一様でなく中心にいくほど暗くなります。こうみると地球の影って結構大きいですね。
 
久しぶりの好条件の皆既月食と期待したのですがあいにくの曇り空、それでも時々顔を出す月を組み合わせて作品を作りました。 
2011/12/10   450mm   磐田市    田代 貞
 

 
 
 2012
 金環日食

日食とは太陽が月によって覆われる現象で、新月の時に起こります。月の地球周回軌道および地球の公転軌道は楕円であるため、地上から見た太陽と月のみかけの大きさは変化します。月の視直径が太陽より大きく、太陽の全体が隠される場合を皆既日食と言います。逆の場合は月の外側に太陽がはみ出して光の輪のように見えます。これを金環日食と言います。次に日本で見ることができる金環日食は(北海道のみ)、2030年。磐田市で見られる金環日食は2041年になり中心食となります。 
 
日食始まっても雨が降っていたので、撮影を諦めていましたが、雨が上がると俄かに晴れ間が現れたため、慌てて準備をして撮影を開始しました。奇跡的にも金環日食の前後は天気が良く、世紀の天体ショーを堪能することができました。 
 2012/5/21   500mm   磐田市万瀬   山下智靖

 
天使の輪の様にリングになった太陽はとても神秘的で、金環時には、気温もさがり、少し冷たい風が吹き、日光も、穏やかに、普段とは違ったやや黄色味を帯びたやわらかな光が降り注ぎ、とても、神々しく感じました。 
2012/5/21   400mm   磐田市万瀬   宇都正明
 
 

 2012
 金星の日面通過

 今世紀2回目で最後の金星の日面通過でしたが、半月前に金環日食があったことと、天気予報がいまいちだったことから、休みも取りずらく、、断念した人も多かったように聞きました。金環日食が予想に反してその時だけ晴れたものですから、「奇跡は2度は起こらない」と考えたんでしょうね。しかし、ふたたびしっかり晴れてくれました。それでもと思い、職塲に機材を持ち込み、昼休みの時間を利用して一発勝負で撮りました。見かねて、同僚が手助けをしてくれてなんとかものにすることができました。
 
 デジカメに望遠レンズを付けて太陽の光を抑えるため、金属フィルターというものを被せて撮影しました。地球とほぼ同じ大きさで地球に一番近い惑星が太陽の前を通り過ぎたのですから、迫力がありました
 2012/6/6    480mm   浜松市中区   野中 敬
 
 

 2013
 アイソン彗星

世紀の大彗星になる、と期待されたアイソンすい星。 金星軌道の内側に入った2013年11月中旬にバーストして数倍の明るさになり、いく筋もの美しいイオンの尾を吹き出しました。しかしこの後、11月29日ごろに太陽の至近距離まで近づいた時、あえなく消滅してしまいました。もし生き残っていたとしたらどんな姿を見せてくれただろうと、想像は膨らみます。
 
 
 日を追うごとに尾の様子が変わっていく彗星は目が離せません。動きが速かったですが、背景の星が点に留まるよう撮影・画像処理しました。
 2013/11/16     635mm   竜頭山北駐車場   町田謙吾


    
 2014
 皆既月食
 
 地球の影に月が入る皆既月食。数年に1度見ることができる為、それほど珍しい天文現象ではないかもしれませんが、実際には、天候に邪魔されることもあり、なかなか観察するチャンスは少ないかもしれません。この2014年10月8日の皆既月食でも、雲に邪魔をされて、なかなか月が姿を現さずに、やきもきさせられました。皆既終了前に、なんとか晴れ渡り、慌ててシャッターを切ったのも懐かしい思い出です。望遠鏡で眺めると美しい色彩がとても神秘的です。次の皆既月食は来年2018年1月31日です。お楽しみに! 
 
  
月が地球の影の中に入ると赤銅色に染まる他、青白く染まる部分があります。ブルーベルトやターコイズフリンジと呼ばれ大気上層部のオゾン層を透過した光が月を青く照らしているのです。望遠鏡で眺めると美しい色彩がとても神秘的です。
 2014/10/8   1330mm   磐田市獅子が鼻公園    宇都正明


 2015 
ラブジョイ彗星 
 
 久しぶりに肉眼でも見える彗星が地球に近付いて来たということで、会員が春野町に新しく見つけたという撮影地に行って撮影しました。撮影地の空は暗く星がたくさん見えましたが、彗星は肉眼では確認が難しかったです。しかし、写真に撮ると尾が分かれていて興味深い形をしていました。この彗星の後には明るい彗星が現れていません。そろそろ明るい彗星が来ないかなと期待しています。   彗星は、かなりの速さで移動していきます。太陽との位置関係で尾の形が毎日のように変化します。その変化を捉えるのも彗星写真の醍醐味と言えるでしょう。
   
 2015/1/12   380mm  浜松市春野町   笹野 元
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