しし座の鼻面にある系外銀河、NGC2903です。
渦巻きの見事な銀河で、特に中心付近からの複雑な構造と2本の淡く伸びる腕など素晴らしい銀河です。
そのため、天体写真の定番のひとつになっています。 
しかし、残念ながら、それらは写真に写して初めて楽しめるのであって、眼視では口径20cmを使っても、光のシミのようにしかみえませんでした。
NGC天体としては明るい方で、CCDには容易に写ります。

≪作者より≫

冷却CCDカメラの撮影法としてはLRGB法がスタンダードとなっています。しかし、LRGB法でLをクリアフィルタとした場合、銀河の撮影では暗黒帯の写り方が悪くなることが知られています。そこで、高解像を求める場合は銀河であってもL画像に赤外カットフィルターを入れる必要があります。しかし、実はそれでも若い星々の集団である恒星雲の写り方が極端に悪くなるようです。天文台画像にあるような、HU領域を赤く、星の集団である恒星雲は美しい青色に再現することを意図した場合は、純粋な三色分解合成法を行うしかないのかもしれません。
対象や何を表現したいかによって、撮影法は変えるべきなのでしょう。
恒星雲は若いSc型銀河で写るようで、これらの天体の場合、恒星雲が写る分、B画像での解像感が高く感じます。
この画像では普段よりもB画像の露出を増やし、B画像を輝度信号として、LRGB合成処理(B-RGB)しています。

≪撮影データ≫
■光学系 Vixen R200SS 
■カメラ SBIG ST7E
■赤道儀 Takahashi EM-200USD+Pyxis
■フィルタ IDAS製天文用原色干渉フィルタ(Type3)
■撮影日時 2001年11月24日 
■撮影地:静岡県磐田郡豊岡村
■露光時間 R:5分×2 G:5分×2,B:10分×4 (NonBinning)
■画像処理 StellaImage3 
NGC2903
宇都正明
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