野中 敬
月面七景B  クラヴィウス

天体望遠鏡で見ると、ティコのすぐ上の方(実際は南側)に随分と大きなクレーターがあります。直径225kmのクラヴィウスです。月のおもて面では横綱級であり、できてから何十億年も経っているものと思われます。月面には空気がないので「風化」とは言わないのでしょうが、ティコを始め、その後にできたクレーターの噴出物などで山容が変わり、太陽が高くなるとほとんどわからなくなってしまいます。

<作者から>

  横綱級っていうと、一番ではないのかとのツッコミがありそうですが、そのとおり。写真のクラヴィウスのさらに上の方でまだ夜の部分には、バイイという300kmの巨大クレーターがあります。作者としては大好きなクレーターで、そちらも出したかったのですが、滅多にいい条件にならず、今回5月2日にはチャンスがあったのですが、天候に恵まれず諦めたしだいです。
 ちなみにバイイ、クラヴィウスなどは特に「壁平原」と呼ばれることがあります。リムと呼ばれる山の縁の部分の高さが数km程度に対し、直径が200kmも300kmもあれば、その真ん中に立ってみてもクレーターを形成するリムの部分はほとんどわからないでしょう。(月は小さいので地平線?もずいぶん近いのです)そこは平原です。

撮影データ

撮影日時及び露出

光学系及びカメラ 



画像処理

撮影地  
2015.3.2 21:29
1/60 約1,000コマを合成
25p反射望遠鏡(タカハシ・ミューロン)NJP赤道儀
直接焦点で撮影(F12)
Skyris445M(モノクロイメージ撮像)
IR742フィルター使用
レジスタックス6、ステライメージ5で画像処理
CANON PIXUS PRO100で出力
自宅(浜松市浜北区貴布祢)
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